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感謝祭の季節です。秋の終わりに。

 

夏の高原の店「ギャラリー・フラワーカレンダー」は、当初7月末から9月いっぱいオープンする予定でしたが、期間中に来そびれた方々のご要望で、結局10月末まで週末ごとに開けておりました。たくさんの方々にご来店いただき、嬉しい出会いもいろいろありました。ありがとうございました。

 

今年は天候が不順で、雨や台風が多かったためでしょうか、庭の花々もいつもと勝手が違う様子で、とまどいながら咲いているという感じでした。でも8月には思いがけず庭いっぱいに白い花々が咲きました。白い花が大好きな私にはとても嬉しい眺めでした。(「白い庭」については、こちらをご覧ください。)

 

天候定まらぬ夏の日々が去り、庭や山々の秋色が濃くなり、あっという間に「秋」となり、さらに気が付けば晩秋です。

 

10月、11月は、秋祭りの季節です。秋祭りは洋の東西を問わず、収穫感謝の思いから始まったものがほとんどです。日本では仮装まつりと化しているような10月31日のハロウィンも、もとはといえばケルト人の収穫を祝う祭事ですし、清教徒たちが新天地を求めて渡ったアメリカでも、昔から11月第4木曜日に「収穫感謝の日」が祝われています。

 

 では「ギャラリー・フラワーカレンダー」で準備した収穫祭の装飾をお目にかけましょう。

 

 下の写真の装飾に使った器は、ヨーロッパから伝わった角笛の形をした「コーニュコピア」。ギリシャ神話に由来するもので、幼いゼウスに乳をあげた山羊の角をかたどったものと言われています。その角からは、望むがままに食べ物や飲み物があふれ出たという話で、豊穣の象徴とされています。

 

 コーニュコピアは一般的にはヤナギの枝で編んだ篭ですが、この器がひとつあると、毎年ちょっとした工夫で、趣きのある秋の装飾を仕上げることができます。写真の装飾には、カラマツ、ツツジ、秋色のアジサイ、ピラカンサス、赤ジソ、ホウズキ、クルミ、リンゴ(秋アカネ、紅将軍)、ナシ(アキヅキ)、ポポーの実を使っています。          

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「豊穣の角笛」からあふれんばかりの秋の恵みで、

 収穫の喜びを表しています。

 

    だいぶ前に作ったクリスマスのリースが残っていました(写真左)。モミの枝葉にトウヒと松ボックリを配したものですが、なかなか良い色になっていましたので、これをベースにしてタイザンボクのドライの葉とリンゴ、ホウズキを加えて、店のドアに飾るための秋のリースにしてみました(写真右)。             Tksgvg 2 m Tksgvg 3 m

納屋に眠っていたクリスマスリースが、秋色に染まっていていい感じです。撮影:岡本譲治

 

左のクリスマスリースを利用して、実りの季節にふさわしい秋のリースに変身させてみたものです。

 話の順序が逆になりましたが、感謝祭の装飾に欠かせない野菜や果物を求めに出かけました。まず、ご夫妻でおいしいリンゴを作っておられる藤本さんの庭園を久しぶりにお訪ねしました。果物や花材を分けていただきたいとお願いしましたところ、こころよく応じてくださいました。

 

 篭を抱えて、奥さんと一緒に果樹園に。広大な園内が一面秋色に染まっていて、ブルーベリーや世界三大紅葉樹の1つとも言われるスズランの木も見事に色づき、真っ赤なリンゴがたわわに実るワンダーランドでした。

 

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  袋がけされたリンゴ(秋アカネ)。
  スズメバチにかじられないように袋をかぶせたまま

  収穫するそうです。                

  枝もたわわなリンゴ(アイカ)。

  丹精された人たちの愛情が感じられます。

 

 リンゴの木の脇に、どこか見覚えのある木があるのに気が付きました。立ち止まって見ていると、奥さんが「これはポポーの木。今実がなっているのよ」と教えてくれました。

 

 50年も昔の話ですが、当時都下の小平にあった恵泉女学園の学生時代、果樹園の一角に大きな葉をつけた木を見つけて、果樹栽培の先生、秋山先生にお聞きしたところ、「これはポポーの木、またの名を恩給の木」という返事でした。

 

 ポポーの木は成長が遅く、実がなるまでにたいそう時間がかかるので、植えた人がリタイアしたころになってやっと果実が得られるということから、そのまたの名があるという説明でした。その実はかぐわしく美味であるとのこと。先生との会話が瞬時によみがえりました。

 

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  50年ぶりに再会したポポーの木。
  秋山先生のお顔と共に懐かしく想いだしました。

  色づいた葉の陰に、ポポーの実が見えます。
  緑のうちに収穫し、やがて少し黒ずみ、

      甘い香りが強くなったら食べごろとか。

 

 ポポーの木と葉には確かに見覚えがありましたが、実がなっているのを見るのは初めてでした。学生時代のあの木の実を見ることができ、賞味することも装飾に使うこともかないました。

 

 「ポポー」という名は、なにか南洋の果物の名みたいな響きですが、実は北米のカナダからフロリダまでに自生する温帯果樹であることが、藤本さんからいただいた資料で分かりました。後ほど友人たちと食べてみましたが、ねっとりとした果肉で、かなり甘く、香りが強いものでした。その香りに少し抵抗があるという人もいましたが、概して好評でした。

 

 アメリカでは「アメリカン・カスタードアップル」という呼び方もあるそうです。

                                                                                          
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スズランの木。北米東部原産の落葉低木。春に咲く芳香のある白い花がスズランの花によく似ていることから、スズランの木と呼ばれています。

 

 帰り道に、高根クラインガルテンに立ち寄りました。北杜市高根町にある市民農園ですが、その芝生広場でこの日は収穫祭が行われていました。

 

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クラインガルテンの収穫祭で、我が家の庭の手入れなどをいつもお願いしている楠瀬さんが、お店を出して

いました。お米や野菜も作っている方です。

 

帰る途中で眺めた八ヶ岳。すそ野はいまカラマツの黄葉が見事です。まもなく冠雪が見られることでしょう。

 

       

 

  

フラワーカレンダーから、残暑お見舞い申しあげます。

 

8月もあわただしく過ぎ、あっという間に9月になってしまいました。皆様、暑さにもまけずお元気におすごしでしょうか?

 

この夏、フラワーカレンダー2階のギャラリーでは、『日本と世界の紙と箱』展を実施いたしました。何十年もの間に、旅先で出合った紙と紙製品と小箱。いつの間にかたくさん集まりました。材質はさまざまですが、どれも人の手が巧みに作り出した作品ばかりです。

 

ギャラリー展は、9月も継続中です。9月30日までの金・土・日曜の午前11時から午後5時までオープンしております(入場無料)。ぜひお立ち寄りいただき、楽しんでくださいますようお願い申しあげます。

 

  展示品のいくつかをご紹介しましょう。

 

 

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イチジクの繊維でできたメキシコのアマテ紙。

スペイン人による征服以前は呪術的な絵柄が描かれていたそうです。

 

1970年に初めてカンボジアを訪れたときに、村人から買い求めたアンコール・ワット遺跡の拓本。貧しく売るべき土産品もなかった時代、日本人の考古学者から教わったという技法でこんな見事な拓本を作って売っていました。紙は和紙に似た手漉き紙です。

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アジアの国々では、和紙そっくりの手漉きの紙が使われて

います。原材料は身近な植物です。ベトナム、カンボジア、

ミャンマー、ネパールなどの紙を展示しています。

箱は便利な物入れ。入れるものによっては宝石箱にも玉手箱にも

なります。飾っておくだけでも嬉しい美しい小箱もあります。

材質も形状もさまざまな各国の箱をご覧ください。

 

 昨年、布の世界を展示しました折、何人ものお客様から、「来年は何を見せてくださるの?」というお尋ねをいただきました。ギャラリー展示8回目に当たる今年、思い出多い小箱と、世界遺産にもなり、いま世界から注目されている「和紙」と紙を使った工芸品のコレクションをご覧いただこうと思い立ちました。

 

 思い返しますと、昔は私たちの身の回りに、たくさんの和紙がありました。

 

 私の育った東京・世田谷の家では、それは厳しく母から行儀作法を教わりました。その中には、障子やフスマの毎日の浄め方、客間の掛け軸の季節季節の飾り方など、和紙と暮らす日々のマナーがたくさんありました。

 

 紙にちなむ思い出のひとつは、正月の書き初めです。私に寄り添ってすぐ後ろに座る母。私の手に母の大きな手が添えられ、筆の持ち方、力の入れよう、筆さばきなどを指導してくれました。その手のぬくもりが忘れられません。

 

 七夕様を飾るときには、我が家では庭のあせび(馬酔木)の葉についた朝露をせっせと小瓶に集めて、それで墨を磨るのが慣わしでした。庭で集めた朝露で磨ると、美しい字が書けるようになるのよという母の言葉に、何の疑問も持たずに素直にしたがった私でした。あの頃のゆったりとした時の流れ、日常の豊かな情感が懐かしく思い出されます。  

 

 フラワーカレンダーも28年目を迎えました。今年は気候も異常でしたが、そのためでしょう庭の植物の様子も例年とは少し違いました。7月から8月にかけて、夏の花と秋の花が一緒に咲きだしたり、やたらと茎がのびたりしました。

 

 首をかしげることの多かった夏でしたが、8月後半、いままでにないほど庭中に白い花々が咲きあふれて、私の大好きな「白い庭」になりました。嬉しくて作品に仕上げてみました(右下の写真)。

 

 東京都下のあるところに、白い花ばかりを咲かせる庭を作りたいと思ったのは、もう40年ほど前のことでした。その庭は事情により夢で終わったのですが、今年嬉しいことにフラワーカレンダーの庭に実現したのです。 

       
          

             

 

 

 

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フラワーカレンダー、8月の白い庭

   庭に飾ってみた白い花々。

           

 この夏、店と住まいの庭をいろどってくれた花々を、いくつかご紹介しましょう。

 

 

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ヤマユリ    レンゲショウマ
     

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キキョウ   オニユリ
     

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ナデシコ   カクトラノオとノギク
     
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左ユウゼンギク、右カッコウアザミ   ユウスゲ
     

 庭の花は、次々に新しい花が加わり、週替わりで主役が交代していますが、ここは標高1000メートルの庭。まもなく、植物たちが冬支度を始める庭になってくることでしょう。

 

 9月いっぱいはギャラリー展示を続けます。どうぞ庭の花々にも会いにきてください。

 

 お店の方は、少々クリスマスの雰囲気を加えてみたいと思っております。私の背丈の半分もなかった店の庭のモミの木も、みるみるうちに大きくなりました。今度のクリスマスのシーズンにはひと役かってもらおうかな、と考えているところです。

 

  自然あふれる小淵沢。フラワーカレンダーは、八ヶ岳南麓の高原にあります。お出かけのほどお待ちいたしております。

山梨ゆかりの七夕人形「お留守居さん」!

 

7月に入り、梅雨明けも間近。いよいよ盛夏です。一年の折り返し点にあたる7月。日本列島の各地で、夏祭りが行われるときです。

 

「お祭り」といえば、お神輿や山車が主役になる、にぎやかで心浮き立つ祭事をまず思い浮かべますが、もともとは神や祖先を“まつる”行事のことですから、中には心静かに迎える「お祭り」もたくさんあります。そのひとつが「七夕まつり」でしょう。私にとっても思い出深いお祭りのひとつです。

 

小学一年生のときの、思い出に残る写真があります。1クラス50数人の生徒の後ろには大きな七夕飾り。最前列、おかっぱ頭に下駄ばきで座っているのが私です。担任の先生が美術担当の方でしたので、手作りされた七夕飾りはそれは見事で豪華でした。

 

 都下・小平にあった恵泉女学園の園芸科に入学して、初めて迎えた七夕まつり。バラ園に囲まれた芝生の広場に、大きな七夕飾りの竹が立てられました。芝生に寝ころび、芝生と大地の香りに包まれ、見上げた夜空の雄大な天の川。笹竹の中で、迷い込んだホタルがピカッ、ピカッと光りました。私にとって、いまでも忘れられない夢のような映像です

 

     

  私の高原の店「ギャラリー・フラワーカレンダー」でこの夏開催する『日本と世界の紙・箱展』の準備のために、世田谷から小淵沢へ出かけようとしていたときのことです。いつものように、山梨県のイベント情報が満載されているウエブサイト『富士の国やまなし観光ネット』を開いてみましたところ、7月2日、3日の両日、中央市の豊富郷土資料館で「甲斐の七夕人形・お留守居さんを作ろう」という体験イベント[右の告知ポスター]が催されることを知りました。

 

 まず、「お留守居さん」というネーミングに心ひかれました。山梨伝統の七夕人形だということです。今年のギャラリー展示のテーマ「紙」にも通じますので、興味がわきました。  

 

 7月2日の朝、小淵沢から豊富郷土資料館へ向かいました。着いたときには、10時からの会に参加している子供たちが、真剣な面持ちで人形作りに取り組んでいました。私たちは11時からの会に参加させていただくことになりました。                                        

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 山梨県には、昔から男女一対の紙人形「七夕さん」を作り、笹竹に吊るして飾る習慣があったそうです。この人形は7月8日の朝からは、家の守り神「お留守居さん」になり、次の年の七夕までの一年間、家や田畑を泥棒や虫から守る役割を果たしたのだということを、資料館の方々から教えていただきました。

 

 受付で、小型の人形一対を作る材料の他に、オプションの大判の七夕紙セットもわけていただいて、大小の七夕人形づくりに挑戦してみることにしました。             

          

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    講師の方が、作り方のあれこれを教えてくださいました。
     

 いよいよ講習会が始まりました。まず小さい人形作りです。わけていただいた折り紙を何度か折り、ハサミで切り込みを入れて、上のポスターのような裾の長~い人形を作ります。まるで長袴のような姿になりました。

 

 大型の人形作りには、ごく薄い和紙を使います。赤・紫・黄・青のいずれかの紙と白い半紙を、ほんの少しずらして重ねて、気を付けながらハサミを入れていきます。出来上がると、長い裾の色紙と白紙とのコントラストも美しく、これだけ薄い紙なのに張りもあって、温かさを感じられる、和紙ならではの素晴らしさを実感できました。

  

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細かいところを、学芸員の方にご指導いただきました。

 

  私は男(彦星)人形には紫と白の紙を、女(織姫)人形には赤と白の紙を選びました。薄手の紙を、幅や長さをきちんとそろえて切り込みを入れていきます。ちょっと緊張する作業でしたが、かたわらに何人もの方々がつき添って親切にご指導くださいましたので、ぶじに大型の人形も完成させることができました。最後に資料館の裏から切ってこられたという笹竹がめいめいに配られ、お人形たちを枝から吊るして、これで「お留守居さん」の出来上がりです。

     
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人形を笹竹に飾って完成。
ご指導いただいた方々とご一緒に。


 

会場の豊富郷土資料館の前で。

     

 中央市からの帰り道、資料館で教えていただいた甲府市内の雨宮紙店にお寄りして、七夕人形作りに使う色紙を買い求めました。8月のギャラリー展示の折、旧暦の七夕まつりの日にでも、ご希望の方々とご一緒に「お留守居さん」人形を作ってみたいな、と思いながら中央道を走りました。

 

 小淵沢に戻り、リビングの出窓の前に本日の成果である七夕飾りを立ててみました。右上部の小型の人形と、左下の大型の人形の二対が、それぞれにいい味をかもし出していると思います。

 

 

  

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甲府市中央の紙屋さん。明治3年創業だそうです。

     

 

                                                                                                                  

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  山梨伝統の家を守る七夕人形を窓辺に

  置いてみました。いい感じです。

     

 

 

 

「ケルトの国々」で出合った花々。

      

 

 5月下旬から2週間ほど、「ケルトの国々」へ行ってまいりました。

 

 「ケルト」はご存知の方々も多いでしょうが、紀元前に起源するヨーロッパの古い民族です。独特の文化を発展させた民族で、かつてはヨーロッパ全土に広く分布していましたが、他民族に追われて西へ西へと移動し、いまではアイルランドや英国のスコットランド、ウェールズなどにその文化と言語を受け継ぐ人々がわずかに残っています。         

                    

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      まずはケルト聖地であるアイルランドのタラの丘に詣でました。アイルランド人にとって心のよりどころとなっているところです。
     

 今回は、バスツアーに参加して、アイルランド、北アイルランド、スコットランドをめぐってきました。東京からロンドンを経由してダブリンまで飛び、そこからバスでアイルランドの南部と西部を訪ね、英国領の北アイルランドへ向かい、その中心都市ベルファストからフェリーでアイルランド海峡を渡って、スコットランドへ。さらにローモンド湖やネス湖を経て、スコットランドの歴史都市エジンバラに至るバスの旅でした。ダブリン~エジンバラ間の走行距離はおよそ2700キロでした。

 

 アイルランドは、日本より涼しい国だけに、いまが新緑の時期で、野山に緑したたる美しい季節でした。いたるところに緑の牧草地が広がり、放牧されたヒツジやウシやウマがのどかに草をはんでいました。

                   

CelticRoute2 mバスの中からの撮影ですので、前景はどうしても流れてしまいます。こんな平和な風景が続きます。 

 

  バスの車窓からの景色は、全行程にわたって「緑」「白」「ピンク」「黄色」の4色が基調でした。「緑」はもちろん草木の緑。アイルランドも、スコットランドも、晴れのち雨のち晴れのち曇り、というように変わりやすい天候です。適度のおしめりがあるためでしょう、草木はみずみずしい若葉色でした。

 

 「白」はサンザシの花です。バラ科の落葉低木であり、もともとは中国原産のようですが、いまではヨーロッパ、アジア、北アメリカなどの北半球の温帯にひろく分布しています。アイルランドでも、野山、牧草地、畑のあぜ、道路の端などを白く彩っていました。

     
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バスの最前列から撮りました。サンザシがあふれるばかりに

白い花をつけていました。

 

バレンの「巨人のテーブル」で出合ったサンザシの大木。

 

   

 右上の満開のサンザシの木に近づいてみると、一輪一輪が、とても可憐で美しいことが分かります。

 

 アイルランドはよく「妖精の国」と呼ばれます。妖精を信じるお国柄といってもよいでしょう。15年ほど前に初めてこの国でドライブをした折に、「妖精横断中」(Fairy Crossing)という道路標識を見たことがあります。

 

 妖精の好きな花は、白い花といい匂いの花だそうです。サンザシはまさに妖精好みの木で、サンザシの下で踊っている妖精がよく見られる(!?)と言われています。

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    サンザシの花をクローズアップしてみました。

 

 

   

 「ピンク」はシャクナゲです。アイルランドの森や野山に、無数のシャクナゲが薄紅色の花を咲かせていました。むかし英国人が移植した数株が、みるみるうちに全土に殖えひろがったのだという話を聞きました。

 

 アイルランドのシャクナゲは、どこに行っても同じ薄紅色の花ばかりで、他の色のシャクナゲは全く見ることができませんでした。前述のサンザシの場合は、白い花が大部分ですが、ときどきやさしいピンク色の花をつけているものも見かけました。

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    アイルランドの西岸を縦断する景勝道路「アトランティックウェイ」で見たシャクナゲの群生。

 

 

   

 アイルランド島からスコットランドへ渡ると、沿道でひときわ目立つのがハリエニシダの「黄色」でした。乾燥した砂地や荒れ地によく生えるという南西ヨーロッパ原産のマメ科の常緑低木です。目に鮮やかな黄色い花とトゲをまとったハリエニシダの群生が、沿道の左右に延々と続いていました。

     
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ネス湖の湖畔にあるアーカート城の傾斜地にも、黄色い

ハリエニシダが群生していました。

 
   
   

花の形は近縁のエニシダに似ていますが、針の

ような鋭いトゲで武装しています。

     

 アイルランドからスコットランドにかけて、もうひとつの白い花をたくさん見かけました。日本ではニワトコと呼ばれる落葉低木ですが、英語ではエルダーフラワーと呼ばれています。初夏に小さな白い花を無数に咲かせます。

 

 アイルランドでは、サンザシとともに妖精の好きな白い花の木のひとつに数えられていて、この花の下で待っていると、きっと妖精に会えるという言い伝えがあるそうです。

 

 今回の旅では、この花の清涼飲料水があることを知りました。立ち寄ったカフェで初めて飲んだエルダーフラワーのトニックが、ほんのり甘く爽やかな味わいでしたので、すっかり好きになりました。ヨーロッパでは、風邪の引きはじめによく効き、リラックス効果もあると言われていて、むかしから人気のある夏の飲料であるということです。

 

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ケルトの国々の道端で、よく見かけるのがこのエルダーフラワーです。  

エルダーフラワーから作られた炭酸飲料は、スーパーでも手軽に買えます。中央の3本がそうです。

     
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野原でつんだ小花を、ペットボトルの上部をカットして作った容器に入れて持ち運ぶのが私の旅のならわしです。今回も旅の半ばから1週間ほど花がもち、ホテルの部屋のうるおいになりました。

手前はベルフラワー、後方はワスレナグサですが、中央部のピンクの花の名前は分かりません。

右のリンゴは同行の方からいただいたもの。値札には"Flat Apple"と書いてあったそうです。

【追記】その後調べましたところ、中央部の薄いピンクの花はアブラナ科のカッコーフラワーだということが分かりました。英国やアイルランドではよく見られる野の花だそうです。カッコーがやってくる4月の初めに花が咲きだすことからその名があるということです。

 

 

 

 

2016年 おひなまつりと特別講習会を実施しました。

 

春は弥生、おひな様の季節です。「弥生」は本来旧暦3月のことです。今の暦では3月末もしくは4月初めに当たります。弥生は「草木がいよいよ生い茂る月」という意味だそうですから、やはり旧暦3月にふさわしい呼び名でしょう。

 

現在の暦(新暦)では3月3日が「ひな祭り」とされていますので、「おひな様はもう仕舞ってしまった」という方々が多いでしょうが、「ひな祭り」はもともと旧暦3月3日、新暦では4月初めに祝われていた伝統行事です。

 

     ひな祭りにはモモの花が欠かせないため、「桃の節句」とも呼ばれていますが、モモの花が満開となり、春の息吹がいよいよ高まるのはこれからのことです。旧暦の方が、日本の季節感に合っているといえるでしょう。

 

 私の仕事の都合もありましたので、新暦のひな祭りよりちょっと遅めの3月5日から12日まで、世田谷の森 由美子花のサロンでオープンハウス「おひなまつり2016」を開催いたしました。

 

 久しぶりに2階の和室もオープンし、七段飾りのおひな様を初め、各地各様のおひな様やおひなまつりのお道具、それに可愛い犬張子なども飾ってお客様をお迎えしました。犬張子は、江戸時代に誕生した、子供たちの健やかな成長を願うお守り犬です。今年は、いせ辰の大小の犬張子に、山形生まれのひょうきんな子犬の張り子も仲間入りしました。 

                                                                                                                            

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    44年前に娘の初節句のために埼玉・岩槻市で求めた我が家の段飾り。左右に犬張子が控えています。

 

 

 床の間には、真多呂の立ち雛、京都・丸平の稚児人形など、違い棚には私のお気に入りのツバキ木地人形、古い豆雛の段飾りや各地の土雛などを飾りました。おひな様の脇には、サクラやツバキなどの春の花々を小さな花器に活けて飾りました。

 

 ツバキの花は、自宅の庭に咲いた白玉、曙、侘助、キンギョ葉ツバキ、糊コボシ、極小輪ツバキ(ルチェンシス)などですが、いずれも10 cm足らずの苗から長年育てたものです。いまでは私の背丈をとうに超えて、早春から次々に美しい花々を咲かせてくれます。  

 

 我が家から徒歩15分ほどの実家の庭には、祖父が植えた樹齢90年を越えるツバキが何本かあります。長い年月大切に守られ育てられてきた、見るからに風格を感じさせるツバキの大樹です。今年も立派な花を咲かせましたので、幾枝かをいただいてきて、これもおひな様の展示に添えました。      

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床の間にはおひな様の掛け軸、手前にはおひな菓子など、違い棚の前面には吊るしびなも飾りました。

 

 

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1階のサロンには、中村金鈴さんの豆雛、貝びな、

手まり、ミニチュアの道具セットなど、女の子の好きなものがいっぱい。

 

サロンの壁際には、全国の地方色豊かなひな人形をたくさん

展示いたしました。

 

 

 

オープンハウスの期間中、おひな様とご一緒に皆様方をお迎えしました。こういう催しに関心を持っておいでいただく方々と、なごやかなひとときを過ごせたことはとても嬉しく、私に元気を与えてくれました。

 

3月12日には、お花のクラス(特別講習会)をいたしました。サクラとツバキを中心に使って、飾る場所や花器はめいめいが選んで、作品に仕上げていただくことにしました。

 

講習会に先立って、使用する花材を求めに、ある朝早く花市場に出かけました。

 

 仲卸のお店が一列に並ぶ市場の中には、季節の花々や枝物がところ狭しと置かれて売られていました。

 

 サクラとツバキに合わせる花を何にしようか、段取りと仕上がり具合を思い描きながら、人ごみの中を進んでいきましたが、中ほどのお店で目にとまったのが、アフリカ産の「パリジェンヌ」という名のバラでした。

 

 奈良の二月堂で、お水取りの行事に使われるツバキの造花の原型が「糊コボシ」という品種ですが、その赤白模様にとてもよく似たバラでした。ツバキと組み合わせてみたら楽しいのではないかと、即買うことにしました。                                

 葉物は自宅の庭にある枝葉で事足りますので、市場ではそれに合わせられる花々を買い揃えました。講習会の当日、生徒さんたちが作ったアレンジメントをご紹介しましょう。           

    

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  パラの「パリジェンヌ」とツバキの「糊コボシ」。黄色いオシベがあるのがツバキ。手前左側に極小の花を咲かせるルチェンシスも入れてあります。

 

 

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茨田政子さんの作品   宮子敬子さんの作品    横山敏江さんの作品  

 

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波多野容子さんの作品   飯田真理さんの作品   岩本佳子さんの作品  

 

 

今回のお花のクラスでは、私の大好きな花のひとつであるツバキをたくさん使いました。このツバキについて少しお話いたしたいと思います。

 

江戸時代の初めの寛政年間、その当時ガーデニングについては世界の先進国だった日本で、空前のツバキ・ブームが起こったそうです。珍しい品種が次々と生み出され、ツバキに関する書物や図譜が数多く出版されました。このツバキ・ブームは、皇族や公家、大名や知識人など、上流階級での一大ブームでした。二代将軍秀忠も、三大将軍家光も、無類のツバキ好きだったと伝えられています。

 

その頃世に出たツバキの図譜のなかで、『百椿図』と題された図譜は実はいくつかあったそうですが、そのほとんどは残念なことに現存していないようです。我々が見ることのできるただひとつの『百椿図』は、丹波篠山藩主、松平忠国が作らせたもので、原本は東京の根津美術館が所蔵しています。

 

この24 mにもおよぶ長い絵巻には、狩野山楽の筆になる100種類以上ものツバキが精妙に描かれ、当時の文化人たちの和歌や俳句や漢詩が添えられています。

 

 

 私がこの『百椿図』に初めて接したのは、2003年に日本橋の三越本店で開催された『安達瞳子 世界の名花・椿物語展』でのことでした。その折の図譜も根津美術館から貸し出されていたものだったと、後になって知りました。

 

 本年(2016年)2月、根津美術館のコレクション展『松竹梅ー新年を寿ぐ吉祥のデザイン』に出かけましたところ、思いがけずも『百椿図』が別室で公開されていて、ふたたびこの図譜に出会う幸運に恵まれました。                                  

 色鮮やかに描かれた、百余のツバキがそれぞれに醸し出す美しさを目の当たりにして、感動を新たにしました。

   

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    根津美術館発行の『百椿図』のカタログ

 

 日本を代表する花のひとつであるツバキは、いまや世界中に熱心な愛好者がいて、各国の植物園などでも大切に育てられています。このあたりのことについては、「花エッセイ-ツバキ」のページをご参照ください。                                     Hina16 13 m
    上のカタログに収録されている絵巻の一部。

 

 

私がとくにツバキに心ひかれるのは、生まれ育った世田谷の実家の庭に、美しいツバキの木がたくさん植えられていて、幼児期から少女期の思い出につながり、また思い出を彩っているからです。いまはすっかり大樹となった木々は、この冬も昔に変わらず、深みのある色合いの花々を枝いっぱいに咲かせています。

 

 

父の日によせて。また6月に思うことごと。

 

庭のアジサイが一斉に咲き、白から空色に、またピンクにと、移ろいゆく優しい色合いを見せています。

 

「父の日」が私たちの生活に浸透したのは、いつ頃からのことでしょうか? 昨年より、拙著『四季の花飾り』の続編の準備を始めておりますが、その中で「父の日」もぜひ取り上げてみようと思い立ち、そのついで、といっては申し訳ないことですが、父のことをあれこれ思い出しています。

 

父は、私が中学生になる頃まで、自宅の二階で歯科医を開業しておりました。父がいつも身近にいたおかげで、いろいろな思い出が残っております。父は四季折々の行事の際には、あれこれ家族のイベントを考えてくれました。また小学校の夏休みの宿題について、いろいろなアイディアを出してくれました。ある6月のアジサイの季節のことです。大の植物好きな私は、夏休みの宿題に、庭の花々を押し花にしておりましたが、チョウチョのようなアジサイの花を見つけて父に見せたところ、表紙に使ってみたらいいのでは、というアドバイスをもらい、押し花のお花畑にチョウチョが舞い飛ぶ図柄を考えて、すてきな観察日誌の表紙を作り上げることができました。私が工夫する喜びを知った最初の体験だったように思います。

 

 忙しい父でしたが、離れの脇にあった祖父の遺した数本の白桃の木をとても大事にしていて、早朝や仕事の合間に手入れをしていました。夏には大きな香りのよい桃の実がたくさんとれました。小学校時代の友人も、つい先日出会った折に、「あの桃目当てに遊びに行ったのよ」と懐かしんでいました。いまだにあの頃の白桃の味を超えるものはないと思っていますが、山梨の仕事場で完熟した桃をいただくたびに、父の桃が懐かしい味覚の思い出としてよみがえってきます。

 

 父も植物好きだったのでしょう。一時チューリップにこり、毎年新種を植え、見事なチューリップの花壇を作り上げていました。私は、大きなチューリップの花が数年のうちに、なぜか小さな花に変わって、愛らしく咲くのがいとおしく、魅了されていた覚えがあります。これも父との楽しい思い出になっております。

 

 父の日。私は若くして亡くなった父を想い、娘や孫たちはまだ元気に過ごしている父を思う日です。

 

 ここはひとつ、幼い孫たちと一緒に、父の日の花飾りを工夫してみようと、新しい本に掲載するための写真撮りをしました。その折に娘が撮ったスナップ写真で、孫たちの仕事ぶりをご紹介しましょう。

 

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上の孫はパパへのカードのまわりを

お気に入りのヒマワリで飾りました。

 下の孫も、バラのとげに注意をしながら一生懸命に

 ハサミを使いました。

ガラス器にバラを飾る弟。さりげなく

兄が手を貸していました。

 

 

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 2人とも、ガラス花器に、迷うことなく次々に花を挿し入れ、庭のギンバイカ(マートル)の葉を添えて、あっという間に完成させました。仕上げのリボンも、上の孫が最近学校でリボン結びを教わったばかりということで、これも難なく結びました。

 

 子供たちが幼いうちから持っている感性は、正しく導くことでより素晴らしいものへと育っていくことでしょう。幼い子らの植物への感性を伸ばしていくことで、私の思いがつながり、自然の美しさを失わない、居心地のよい日本が維持されていくことを願いたいものです。

 

 孫たちが喜々として花を飾る様子をみていると、そんな願いがふつふつとわいて来ます。これからも、四季折々の生活の場で、あり合わせの器に身近な花々を活けて、子供たちとのアレンジメントを楽しんでみたいと、心から思いました。

 

上の孫が自分で結んだリボンで、

パパへの花飾りを仕上げました。

  6月、庭先に咲く花々をご紹介しましょう。

 

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白からブルーへのグラデーションが美しいアジサイ。

 

 

こちらはブルーからピンクへのグラデーション。

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モモノハギキョウの白花と青花が並んで咲いていました。

 

 

枝いっぱいにエゴノキの白い花が。

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雨に濡れている可愛いサラサドウダンの花々。

 

 

ベランダに咲いたバラ(ニュードーン)。

 

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清楚なノイバラの白い花。

 

 

鮮やかなピンクのアメリカシャクナゲ(カルミア・ラティフォリア)。

 

 

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 父の日(今年は6月19日)には、何の花がよいでしょうか?

 

 母の日はカーネーション、父の日はバラ、というのがアメリカの伝統的な花選びです。

 

 でも、母の日も父の日も、贈られる人あるいは贈る人が好きな花であれば、どの花でもよろしいのではないでしょうか? 近年は「日本ファーザーズデイ委員会」が推奨している黄色いリボンキャンペーンの影響もあるようで、黄色いバラや黄色いヒマワリなどもよく使われるようになりました。とくに、ヒマワリは「元気」「明るい」というイメージから、いつまでも家族の中心として元気でいて欲しいパパに贈るのにふさわしい花として人気を高めているようです。

 

 今回は、孫たちがパパへ贈る花として、ヒマワリとバラを選びました。先日、大田花き市場で聞いてみたところ、同市場で取り扱っているヒマワリは現在15種類をこえているとのこと。市場で、下の写真の5種類のヒマワリを求めました。                                                                

キツネノテブクロ(ジギタリス)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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    ①サンリッチオレンジ、②モネ、③レモネード、④レモンエクレ、⑤レモンオーラ

 

 孫たちに、「パパありがとう」のカードに花を飾って、パパに喜んでもらおうと提案したところ、2人ともやる気満々になりました。市場で買い求めてきたヒマワリを孫たちに見せたところ、迷うことなくこれがいいと選んだのが、①と②でした。いかにもヒマワリのイメージに合ったサンリッチオレンジと優しく爽やかな色合いのモネです。お気に入りのヒマワリの花とバラを使って、2人の初めての「父の日」のアレンジメントが始まりました。

 

 

新しい本『フラワーカレンダー ~季節の花飾り』ができました。

 

この度、誠文堂新光社より、森 由美子の新しい本を出版しましたので、ご紹介させていただきます。

 

 

タイトル:『フラワーカレンダー~季節の花飾り』 

             

著者:   森 由美子

 

発行所:  誠文堂新光社

 

定価:   1,800円 (税144円)

 

本屋さんでの発売は2017年12月18日(月)からですが、森 由美子花の店では

12月1日より発売を開始しております。直接お申し込みの方は、下記あてに

郵便、メール、Fax、電話のいずれかでお申し込みください。郵便番号、住所、氏名、電話番号、冊数は必ずお書きください。

 

本と一緒に払込み用紙をお送りしますので、本が届いてから郵便局でお払込みをお願いします。なお、送料として¥164(2冊まで)を加算させていただきます。

          

  東京都世田谷区代田6-20-12 (〒155-0033) 森 由美子花の店

  電話/Fax: 03-3485-1656

      メール: お便りフォームに記入し送信してください。

  

 

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 この本は、私 森 由美子が花の仕事に携わって50年(半世紀!)あまりの集大成としてまとめたものです。12ヵ月の季節の行事にふさわしい季節の花飾りをご紹介しています。季節に合わせた花装飾ですので、小淵沢の店の名前をとって『フラワーカレンダー』というタイトルにいたしました。カレンダーそのものを販売していると思ってしまう方がおられるといけませんが、本ですのでご注意ください。                                                                                                            
 
 使っている花材のほとんどは、東京・世田谷と山梨・小淵沢(八ヶ岳南麓の高原)の「私の庭」で育てたものです。環境の異なる2つの庭に咲いたたくさんの花々の中から季節ごとのフレッシュな花々を選び、私が集めたさまざまな花器に生けたフラワーアレンジメントが多数掲載されています。季節の行事に寄せるエッセイともども、お楽しみいただけましたら幸いです。

 

  目次

  第1章 春 花ほころぶ季節

    3月 ひな祭り

    4月 イースター

    5月 母の日

    春の楽しみ スミレとスズラン

  第2章 夏 みどり香る季節

    6月 父の日

    7月 七夕

    8月 高原の夏

    夏の楽しみ 貝殻

  第3章 秋 色づき実る季節

    9月 お月見

   10月 ハロウィーン

   11月 感謝祭

    秋の楽しみ 秋バラ

  第4章 冬 新たに芽吹く季節

   12月 クリスマス

    1月 お正月

    2月 奈良のお水取り

    冬の楽しみ 木の実とドライフラワー

  第5章 季節を通じて

     〇 リース

     〇 コサージュ

     〇 小さな花器 

 

 

2016年 新春のご挨拶とワスレナグサ

 

新年おめでとうございます。皆様にとって素晴らしい年になりますように。

 

昨年はなにかと忙しく過ごしました。小淵沢の高原の庭では、春から夏へ、そして秋へと、季節の移ろいにつれて、次々に可愛い花々が咲き出し、その数は100種あまりを数えました。それぞれの一番美しい姿をとどめようと、これまでになくたくさんの写真を撮りました。花のエッセイもなんども書きだしながら、小淵沢と世田谷の仕事と私用に追われて(いささか言い訳じみていますが)、未完成のままに終わらせたことが悔やまれます。

 

世田谷の花のサロンでは、50年来集めてきました、四季の行事にかかわるコレクションがかなり多くなってきました。世界のいろいろな土地で人々が生み出してきた手作りの品々。自然、とくに植物の生み出した素材を使った衣食住のための工夫、人への心配り、手仕事ならではの美しさなどに、いつも感動を覚えます。

昨年は、小淵沢の店「ギャラリー・フラワーカレンダー」で、『日本の布・世界の布展』を開催し、古来から日本と世界の人々に愛されてきた布と布の細工の素晴らしさをご覧いただきました。学生時代の先輩の義姉、関 美代子さんの遺された素晴らしい手工芸品も展示させていただきました。

 

この地球には、素晴らしいものがあふれています。近年、日本でも伝統的な手工芸品を大事にし、後代に伝える取り組みがじょじょに根付いてきているように感じます。手作りの工芸品は、自然からの贈り物である素材を活かして工夫し、生活を楽しく便利なものにするための人類の知恵のたまものだといえるでしょう。

 

 私の所有する日本と世界の優れた手工芸品の数々。今年もまた皆様にその一端をご披露させていただくことを、いまから楽しみにしております。

 

 昨年のクリスマス・シーズンの終わりに、花市場でワスレナグサの一束が目にとまりました。私の大好きな花のひとつです。マーガレットとともに求めて帰り、玄関わきの部屋に飾って楽しんでおりました。

 

 1月も半ばを過ぎたいまも、ワスレナグサもマーガレットも精一杯に花を開いておりますが、あと一両日で元気がなくなるのではないかと思い、そうだ、今年最初に掲載するアレンジメントを制作し、美しい花のかんばせを写真に残そう、皆様に見ていただこうと思い立った次第です。  

 

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  花屋さんで、ワスレナグサに合うバラはないものかと探したところ、優しい色合いのスプレーバラが、これも精一杯に咲いていましたので、それを求めて、一緒に花束にいたしました。

 ワスレナグサは、先端まで花を咲かせますが、その下の脇芽の花を丁寧に摘み取り、ブルーのガラス瓶におさめてみました。ブルージュのレースを敷いてコーナーに飾ったものをご覧ください。

 愛らしいたくさんの花たちと、今年も元気に出合いたいものと思っております。どうぞよろしくお願いします。

        2016年 1月 森 由美子

 

 

 

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2017年 新春のご挨拶とお正月飾り

 

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

     

   12月には、2度の教室を実施できました。月初めにはクリスマス装飾を、月末にはお正月の花飾りを皆様とともに学ぶことができました。

 

 お正月飾りの教室に用意した花材を使って、居間の一隅にお正月飾りをしつらえ、お客様をお迎えする準備をいたしました。右の写真のようになりました。

 

 「小松引き」の掛け軸の左脇に配したお正月飾りは、若竹の筒に千年老松と大王松を挿し入れ、挿し口に南天の赤い実を添えたものです。                   

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大小のお正月飾りに、お屠蘇セットと掛け軸を添えました。

 

 掛け軸の絵を拡大したものが右の写真です。平安時代の貴族たちは、正月の最初の「子(ね)の日」(2017年は1月1日)に野山に遊び、小松を引き抜く「小松引き」という行事を行いましたが、その様子が描かれたものです。

 

 引き抜いてきた「子の日の松」は、長寿祈願に家の入口に飾りましたが、これが門松の起こりだそうです。 

 

 関西の旧家などでは、いまでもお正月には玄関の両側に、根がついたままの小松(根引きの松)を白い和紙で包み、金と赤の水引を掛けて飾るそうですから、平安の世の「子の日の松」の伝統が引き継がれていることになります。                                                                                        

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    小松と一緒に若菜摘みもして遊んだそうです。
     

 最初の写真の右側に写っているのは、お屠蘇のセットですが、我が家にはお重箱やお椀など、長年にわたりお正月に使い続けている漆塗りの器がいろいろあります。

 

 お椀は、右の写真のようなものですが、お正月にふさわしい梅の花と鶴の絵柄になっています。

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 他に、大小のお盆や小さな器などがありますが、右の写真のような小ぶりの漆器は、花器としても使うことができて重宝するものです。   ny2017 4 m
     

 最初の写真の真ん中にあるのが、こうした小さな漆器を使ったお正月飾りです。もう少しクローズアップした写真でご覧いただきましょう。

 

 小さな装飾でもおもてなしの心を表現することができます。漆塗り器の重厚さが、新年を迎えた改まった気持ちとあいまって、すてきな雰囲気をかもし出してくれます。

 

 

 この小さなお正月飾りに使った花材等は下記の通りです。

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 〇庭に育っている万両

  (日陰が好きで、種をとばしてよく増えます。鉢植えでもよく育ちま     す。)

 〇松の小枝少々

 〇シンピジューム 1輪

 〇デンファレ 1本の先端部分

 〇黒豆

 〇赤松と五葉松の松かさ 各1

 

 五葉松の松かさは友人から送られてきたものですが、先端に白い松やにがつき、雪をかぶったような風情でなかなか美しいものです。

 

 黒豆も、毎年届く北海道の友人の心づくしです。黒豆の黒い色が魔除けの色とされていて、厄除けを願うものとしておせち料理に欠かせない肴三種(数の子、田作り、黒豆)のひとつになっています。

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小さな正月飾りは、次の手順で作ります。

 

 ①小ぶりの漆器の枡(ます)の中にオアシスをセットします。

 ②花をバランスよく活けて、足元に苔を貼って仕上げます。

 ③花を活けた枡をお盆に載せ、黒豆を敷きつめ、松かさを添えて出来上がりです。

 お正月が過ぎましたら、黒豆は黒豆茶や黒豆ご飯にしておいしくいただきましょう。

 

 生活の中で、身近にある植物を上手に使って、居心地のよい場所づくりをすることを、私は幼い頃母から学びましたが、いまでも衣食住に植物を活かすことにこだわり続けています

 

 人々が自然から学び、生活に生かして、居心地をよりよくしてきた創意工夫の成果は、いまの世にもたくさん伝わってきています。その一方で、多くの自然が身の回りから失われつつあります。私たちの生活を豊かにする先人たちの知恵を大事にし、自然から学ぶ興味と努力を持ち続けていきたいものです。

 

 多くの生徒さんと花卉装飾を学ぶ中で、私の思いがどれほど伝わっているか分かりませんが、私自身は自然のままに、今年も植物に寄り添って楽しく充実した生活を過ごしていこうと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 この文章をつづっている大晦日、孫たちが遊びに来ました。残っている花材を使って、自由に自分たちのお正月飾りを作りました。

 

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孫の2人が思い思いに花材を活けています。   左が2人で仕上げたお正月飾り。   上の孫は、水引飾りを細工しています。

 

エパーン イギリス花器との出合い

 

 右の写真のアレンジメントには、イギリスの銀製の花器、エパーンをを使用しました。

 

エパーンは、食卓の中央に置く銀、金、ガラスなどで出来ている飾り台のことで、果物、お菓子、花、キャンドルなどを入れるための、数本の枝状の容器を備えたものです。私は学生時代から「エパーン」という呼び方に慣れているのですが、「イパーン」と呼ぶ人もいます。

 

エパーン(epergne)という名前はフランス起源ですが、もともとはフランス・ブルボン王朝の宴席で、食卓を豪華に飾るためのセンターピースとして生まれたものです。それが18世紀後半に始まった産業革命によって、めきめきと国力をつけてきたイギリスに伝わり、さまざまな形状や材質のものに変化したと思われます。 

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 イギリスは、19世紀に、国力ますます充実してきて、世界中に植民地を擁し、各地から富とともに、エキゾチックな花や果物がもたらされました。貴族たちは、熱帯アジアから渡来する高価なランの花やパイナップルなどを食卓に飾り、自家の繁栄ぶりを競い合ったそうです。宴席では、少ない数量の花材でも華やかにアレンジできる花器としてエパーンが重宝され、独自の発展を遂げました。

 

 皆様もよくご存じのイギリス式のアフタヌーンティーでは、紅茶の他に、スコーン、サンドイッチ、ケーキなどを盛った皿が、2~3段重ねのティースタンドに載せられて出されます。このスタンドのこともエパーンと呼ばれています。

 

 本場ロンドンで優雅なアフタヌーンティーが楽しめるホテルのひとつがザ・サヴォイ。そこで使われているエパーンが右の写真のものです。

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   園芸科の学生時代のことですが、イギリス・スタイルの気品あふれる花の装飾法を教えていただいた岡見義男先生から、1冊のフランスの本をいただきました。右の写真がその本の表紙です。

 

 日本語にすると『花屋のアルバム』というタイトルになりますが、婚約、結婚、パーティー、葬儀など、様々な場面で使われる用具や花の装飾の仕方を、細かく描いたイラストが全207ページに満載されています。

 

 西暦1900年ちょうどにパリで発行されたものですから、収録されているのは100年以上も昔の花屋さんの仕事にまつわるイラストですが、ときおり眺めては楽しみつつ、アレンジメントのヒントもいただいています。

 

 では、この本のイラストをいくつかご紹介しましょう。

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 右は『1900年のパリの生花店』と題されたイラストで、当時のパリの町の花屋さんの店頭ディスプレーがどんな感じだったかが分かります。

 

 このイラストを見るたびに、<花の都>パリに行ってみたいと夢みていた若かりし頃を思い出します。ついに憧れのパリの花屋さんを見ることが出来たのは、後述の1971年、ロンドンからパリへ足を延ばしたときのことです。

 

 パリ中心部のヴァンドーム広場に近いホテルに投宿し、心せくまますぐ散策に出かけました。

 

 ホテルの真向かいにも瀟洒な花屋さんがありました。ウィンドウは、上から下まで美しい色合いの花々で飾られていて、イラストで見たような素晴らしさでした。あの感動はいまでも忘れられません。

 

 それからまた歳月が流れ、今では、あの頃のように素敵なアレンジメントが見られる花屋さんは、少なくともパリの中心街からは姿を消してしまいました。残念なことです。                                                          

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 右のイラストには、卓上にセットされた食器類と花の装飾が描かれています。中央部にある楕円形の島は、シュルトゥと呼ばれるセンターピースです。香辛料、果物、お菓子、花、キャンドルなどを見栄えよく載せるためのものですが、これがエパーンの原型だったそうです。

 

 このトレイ状の入れ物が、枝を伸ばしたり、何段かの層になったりして、いくつかの形状に分化していったのだと思われます。 

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 次のイラストに描かれたテーブルセッティングでは、中央部にいくつかの3段重ねのスタンドが置かれていますが、どこやらアフタヌーンティーのティースタンドに形状が似ています。

 

 複数の容器を枝状に伸ばす代わりに、縦に重ねたものですが、これもおそらくはエパーンと呼ばれていたのではないでしょうか?

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 フランスでは、19世紀後半、浮世絵をはじめとする日本美術への関心が高まり、「ジャポニスム(日本趣味)」がブームとなりました。その影響と思われますが、この本の中にも、花器や扇子や提灯など、日本のものらしい道具がいくつも描かれています。中でも、竹と花との組み合わせが興味をひきます。

 

 右はそのひとつですが、「数本の枝状の容器を備えたもの」という、エパーンの定義通りの花器を使っているアレンジメントです。私とエパーンとのそもそもの出合いといえば、この竹製エパーンとの遭遇だったのかもしれません。

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 日本には、愛知県の犬山市に、明治時代の建物や乗り物が集められて、明治時代が味わえる「明治村」があります。一方、アメリカ・ヴァージニア州には、イギリスの植民地時代を再現した「ウィリアムズバーグ」があります。昭和天皇も足をお運びになったところです。

 

 ウィリアムズバーグの歴史地区は、東京ドーム100個分という広大な野外博物館です。修復または復元された17~18世紀の建物や、店や職人の工房が立ち並び、住人(スタッフ)たちは当時の服装で、当時の手仕事をしながら、当時の言葉づかいで、にこやかに迎えてくれます。

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 私はこの歴史地区が好きで、いままで3度行っていますが、最初はアメリカを代表するフラワーアーチストのビル・ヒクソン先生に連れて行っていただきました。1968年に先生と一緒にアメリカ10州でデモンストレーションをしたときのことです。その折に、歴史地区のお店で初めて本物のイギリス製のエパーンと出合い、買い求めました。これが私のエパーン・コレクションの第1号です。

 

 その後、1971年にイギリスに行った折には、当時はまだ参加資格が厳しかった競売会社のサザビーズで、知人の身内で資格を持った人にお願いして、20数点の花器や雑貨を入札していただき、年代もののエパーンを1つ手に入れることができました。

 

 花器には目がない私ですので、その後も東京・代官山でイギリス骨董を扱っていた知人を介して、いくつかのエパーンを入手しました。以下に、いま手元にあるエパーンから、いくつかご紹介させていただきます。冒頭のアレンジメントは、一番目のエパーンを使ったものです。

 

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       ティースタンドの最上部に花挿しを備えた形状のエパーンです。

特別展『麦わら細工の世界』に出展します。

 

10月28日(土)より、東京・大田区の郷土博物館で、特別展『麦わら細工の世界』が開催されます。この特別展には、森 由美子の「世界の麦わら細工」コレクションも出展いたします。大田区ならではの興味深い企画ですので、ぜひ一度お立ち寄りくださいますようお願い申し上げます。

 

  会期: 2017年10月28日(土)~12月24日(日) 休館:毎週月曜日

  時間: 午前9時~午後5時

  会場: 大田区立郷土博物館

  住所: 東京都大田区南馬込5-11-13

  電話: 03-3777-1070

 

     

  会期中に〈麦わらのクリスマスリース作り〉の体験催事が行われます。

 

  日時: 12月3日(日) 午前9時30分~午後12時30分、午後1時30分~4時30分

  講師: 森 由美子

  対象: 中学生以上 各回20名

  費用: 無料

  申込: 11月1日(水)午前8時30分から電話で受付

   

     

   大田区大森は、かつて東海道の「品川宿」と「川崎宿」の中ほどにある「間の宿」として茶店や土産物屋が軒を連ねていました。ここで人気を博していたのが「大森麦わら細工」でした。江戸時代、郷里へ向かう旅人たちが、家で待つ子供たちのために、競って買い求めた江戸土産だったそうです。

 

 旅人で賑わう大森の麦藁細工店の様子は、1830年代の『江戸名所図会』にも描かれています。池波正太郎の『鬼平犯科帳』には、この図会からヒントを得たとおぼしき場面が再三現れますが、「穴」や「泥鰌の和助始末」には「大森村の名産・麦わら細工」のねずみや鳩が登場しています。

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『江戸名所図会』より「麦藁細工」。大森村の麦わら細工店の賑わいを描いています。

 

 近世に入り、人々の往来が鉄道へと移行すると、大森の麦わら細工は急速に衰えて、第二次大戦の頃には、継承する人も途絶えてしまいました。

 

 その伝統の麦わら細工が、半世紀のときを経て、現在大田区立郷土博物館と地元有志のご努力により、復活と復元が着々と進められています。

 

 今回の特別展では、大森の伝統的な麦わら細工、西の麦わら細工の里として知られる兵庫県・城崎の麦わら細工と共に、私の「世界の麦わら細工」コレクションが展示されます。                                                                                      

     

 私のコレクションの第1号は、アメリカで見つけたスウェーデン製の麦わら細工で、1968年にさかのぼります。

 

 この年、私はアメリカを代表するフローラルデザイナーのビル・ヒクソン先生のお招きで、先生とスウェーデン人のリタさんと私の3人でアメリカ10州で米・欧・日のフラワーデザインを披露するという仕事をさせていただきました。

 

 その折に、クリーブランドの先生のお店で、野原の花々と蝶をあしらったスウェーデン製の麦わらリースを見つけ、素朴さと麦の色合いが気に入て買い求めました。麦わら細工のすばらしさは、年を重ねるごとに深みのある光沢を帯びて、美しさを増してゆくことです。右の作品を手に入れてからもう50年にもなるのですが、いまでもときどき取り出しては、その美しさに魅了されています。

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     私の麦わら細工コレクションの第1号がこの作品です。
     

 その後ヨーロッパへ行く機会が増え、クリスマスシーズンにはヨーロッパ各国のクリスマス市巡りをせっせといたしました。

 

 クリスマス市には様々なクリスマスグッズが並んでいますが、とりわけ麦わら細工のクリスマスオーナメントとの出合いは嬉しいものでした。

 

 最初の出合いは、1989年、ドイツ・アウクスブルクのクリスマス市でのことでした。カラフルなクリスマスの装飾品であふれている屋台が連なる中で、どちらかというと地味な色合いの麦わら細工の屋台を見つけました。

 

 素朴ながら巧みに編み上げられた細工の妙に驚き、麦わら独特の美しい光沢に魅せられて、ひとつひとつ手に取って眺めていると、どれもが素晴らしく選ぶのに苦労したことを懐かしく思い出します。

 

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    アウクスブルクのクリスマス市で麦わら細工の店を見つけました。
     

  世の東西を問わず、伝統的な手工芸品の多くは、身近な素材から作られています。麦が主食であったヨーロッパでは、日本人が稲わらを使って様々な細工物を作ってきたのと同様に、麦わらが日用品や装飾品を作る素材でした。クリスマスなど、季節の行事を彩る装飾品として、昔は今よりずっと多くの麦わら細工が用いられていたことでしょう。

 

 ヨーロッパのクリスマス市で、麦わら細工を売っている店で聞いてみると、その多くが近隣の農民が農閑期にせっせと作った装飾品だということが分かります。売っている人自身が手作りした細工であることもよくあります。

 

 屋台の店で売られているのは、都会の商店はまず扱っていないものです。そうした貴重な品々に逢いたくて、一時は毎年のようにヨーロッパへ足を運びました。

 

 以下に、私のコレクションの中から、麦わら細工のクリスマスオーナメントをいくつかご紹介しましょう。

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      ドイツの麦わら細工で飾ったクリスマスツリー。

                                              

          

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クリスマスツリーのトップに飾るスタートップ(オーストリア)   キャンドルリース(デンマーク)  
                                                           

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天使のスタートップ(オーストリア)   スタートップ(ドイツ)   ベルのリース(チェコ)
         

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クリスマスリース(ハンガリー)   クリスマスの山羊(スウェーデン)   ドア飾り(ドイツ)

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年 新春のご挨拶とワスレナグサ

 

新年おめでとうございます。皆様にとって素晴らしい年になりますように。

 

昨年はなにかと忙しく過ごしました。小淵沢の高原の庭では、春から夏へ、そして秋へと、季節の移ろいにつれて、次々に可愛い花々が咲き出し、その数は100種あまりを数えました。それぞれの一番美しい姿をとどめようと、これまでになくたくさんの写真を撮りました。花のエッセイもなんども書きだしながら、小淵沢と世田谷の仕事と私用に追われて(いささか言い訳じみていますが)、未完成のままに終わらせたことが悔やまれます。

 

世田谷の花のサロンでは、50年来集めてきました、四季の行事にかかわるコレクションがかなり多くなってきました。世界のいろいろな土地で人々が生み出してきた手作りの品々。自然、とくに植物の生み出した素材を使った衣食住のための工夫、人への心配り、手仕事ならではの美しさなどに、いつも感動を覚えます。

昨年は、小淵沢の店「ギャラリー・フラワーカレンダー」で、『日本の布・世界の布展』を開催し、古来から日本と世界の人々に愛されてきた布と布の細工の素晴らしさをご覧いただきました。学生時代の先輩の義姉、関 美代子さんの遺された素晴らしい手工芸品も展示させていただきました。

 

この地球には、素晴らしいものがあふれています。近年、日本でも伝統的な手工芸品を大事にし、後代に伝える取り組みがじょじょに根付いてきているように感じます。手作りの工芸品は、自然からの贈り物である素材を活かして工夫し、生活を楽しく便利なものにするための人類の知恵のたまものだといえるでしょう。

 

 私の所有する日本と世界の優れた手工芸品の数々。今年もまた皆様にその一端をご披露させていただくことを、いまから楽しみにしております。

 

 昨年のクリスマス・シーズンの終わりに、花市場でワスレナグサの一束が目にとまりました。私の大好きな花のひとつです。マーガレットとともに求めて帰り、玄関わきの部屋に飾って楽しんでおりました。

 

 1月も半ばを過ぎたいまも、ワスレナグサもマーガレットも精一杯に花を開いておりますが、あと一両日で元気がなくなるのではないかと思い、そうだ、今年最初に掲載するアレンジメントを制作し、美しい花のかんばせを写真に残そう、皆様に見ていただこうと思い立った次第です。  

 

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  花屋さんで、ワスレナグサに合うバラはないものかと探したところ、優しい色合いのスプレーバラが、これも精一杯に咲いていましたので、それを求めて、一緒に花束にいたしました。

 ワスレナグサは、先端まで花を咲かせますが、その下の脇芽の花を丁寧に摘み取り、ブルーのガラス瓶におさめてみました。ブルージュのレースを敷いてコーナーに飾ったものをご覧ください。

 愛らしいたくさんの花たちと、今年も元気に出合いたいものと思っております。どうぞよろしくお願いします。

        2016年 1月 森 由美子

 

 

 

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花のサロンの『おひなまつり』(オープンハウスのお知らせ)

 

 『いざ給えよ、雛(ひいな)あそびなどする所に』           

   (さあいらっしゃい、お雛さま遊びのできる私の家へ)  ― 源氏物語【若紫】 

 

 『過ぎにしかた恋しきもの、ひいなあそびの調度』           

   (昔の頃を恋しく思い出されるものは、人形遊びの道具) ― 枕草子

 

 

 まもなく桃の節句がめぐってまいります。子供らの健康と厄除けを祈願するための行事として、平安時代より前から続いている行事です。 

 

 紫式部や清少納言の時代から、おひなさまは私たちの身近にありました。いくつになろうと、女性にとっては心ひかれるものではないでしょうか? 私もおひなまつりの大好きな子供でした。

 

 伝統的なおひなさま、地方色豊かなおひなさま、心のこもった手づくりのおひなさま・・・などたくさん集まりました。春らんまんの先ぶれである、うれしい桃の節句です。ぜひご一緒にお祝いしましょう。お気軽にお立ち寄りください。

 

 

 花のサロンのおひなまつり(2015年)

 

    3月1日(日)、2日(月)、3日(火)、 6日(金)、7日(土)、8日(日)

    午後 1 時~ 5 時 (入場無料) 

    東京都世田谷区代田 6-20-12 森 由美子花のサロン

    電話/Fax: 03-3485-1656

 

 

       * 最寄り駅は、井の頭線新代田、井の頭線・小田急線下北沢です。

 

         * ご希望の方には、Faxまたはメールにて案内地図をお送りします。

     *3月中に限り、上記以外の日時もできるだけご覧いただけるようにします。ただし、事前にご連絡ください。

 

 

 

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応接間のひな飾り 奈良一刀彫ひな人形の段飾り   

奈良のツバキ木地ひな人形

     
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京都御殿びな  

(浅井民雄・典子様ご寄贈) 

 

木目込み人形

真多呂作

 

 

愛媛県松山の木彫りひな人形

 

 

 

   

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渡辺ちよさん手づくりの

かわいい紙びな

本年2月で93歳です。お元気で

作品を制作されています。

 

 

「きいちのぬりえ」で知られる

蔦谷喜一さんの奥様手づくりの

愛らしいおひなさま

 

 

左は鹿児島の糸びな

右は沖縄の色紙びな

 

         

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関美代子コレクション 

吊るしびな

古い時代のものです。


 

 

関美代子コレクション 

ねんね、ハイハイ、たっち

愛し子の成長を祈って作られた

吊るしびなのあれこれ

 

 

  

貝の手書きびな

まわりにあるのはどろめんこ

 

         

小淵沢・高原の初夏をいろどる花々

                                                                                                                    

   

 八ヶ岳南麓の、標高ちょうど1000メートルの小淵沢高原に、ハーブを中心としたお店『フラワーカレンダー』を開店したのが昭和63年(1988年)です。その20周年を機に、店の二階にギャラリーをオープンしてから今年で7年目となりました。私の高原の仕事場も、はや27年目を迎えたことになります。

 

 小淵沢には、アカマツの林がいたるところに広がっています。道路に沿って整然とアカマツが林立している風景は、ここならではの美しく好ましい眺めですが、近年は老木化による倒木の危険性が増していることから、一帯の木々が次々に伐採されています。

 

 我が家の庭の松(アカマツとカラマツ)も、最初はやせっぽちの若木でしたが、この年月の間にひと抱えもある太い樹木になり、管理会社や近隣の方々のお勧めもあって、泣く泣く何本かの松を切ったのが一昨年のことでした。

  

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      初夏の『フラワーカレンダー』の前庭。ユキヤナギ、ヤマブキが終わり、ノイバラが咲きだしました(右手前)。
       

 松が枝葉を広げていた時には、庭の草花には十分な太陽が届かず、苔むした庭でした。それはそれなりに風情があり、日陰になりながらも命をつなぎ、優しい色合いで咲き続ける花々がいとおしく、大切に育ててまいりました。

 

 それが、頭上をおおっていた枝葉が取り払われ、風通しも良くなりお日様の恵みがふんだんに降りそそぐようになったとたんに、四半世紀にわたり地中で満を持していた植物のエネルギーが一気に噴き出してきました。

 

 古顔の花々が新たな成長を始める一方で、植えた覚えもない新顔たちが次々に登場して、自己主張を始めて、これまでとはまるで違った趣きの花園が出現しました。植物相が一変したことに驚いたり、あらたな感動をおぼえたりしたときから、これで3回目の初夏を迎えました。  

     

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ベランダのノイバラ

                                                          

 私は冬から春先にかけては東京で過ごしておりますが、都内のサクラの季節が終わり、バラのシーズンに入るゴールデンウィークの頃から、小淵沢へ足を運ぶことが増えてきます。

 

 東京・世田谷と山梨・小淵沢の高原とでは、植物の開花期がほぼ1ヵ月違います。4月末からの連休前後が小淵沢のサクラの季節ですが、『フラワーカレンダー』裏のヤマザクラの大樹を始め、フジザクラ、マキノザクラなど7種のサクラが、今年も見事な花の宴を見せてくれました。

  

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    コゴメ(小米)ウツギが咲きました。後ろの赤いツツジの葉や新緑の葉と相まって、美しい眺めとなりました。
     

 小淵沢の庭では、春にはスイセン、スミレ、スズラン、八ヶ岳イカリソウ、オダマキ、サクラソウ、クルマバソウ、アヤメ、ヒメカンゾウなどの草花が次々に咲きます。

 

 木々には、コウズ、マンサク、ミツマタ、ユキヤナギ、ヤマブキ、リンゴなどの花が開き、続いてズミ、トチ、ツツジ、オオデマリ、シャクナゲ、サラサドウダン、箱根ウツギ、コゴメウツギ、ヒメウツギ、バラなどが花の競演に加わり、高原の庭のにぎわいを増してきます。

 

 

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    庭先で摘んだバラ(アルバ)とコゴメウツギを斑入りギボシの葉でブーケにまとめてみたところです。

 

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   eSum15 6 m   こんなに可愛いサラサドウダンの花に会えるのも、初夏の庭の楽しみです。             

     

 私の庭は、あまり手を入れずに、自然の植物相を大事にしております。季節季節の花たちが、互いに自己主張をしながら健気に咲いている小さな庭です。よろしかったら、ぜひ一度お立ち寄りください。

 

 

 歌のことばにもありますように、花はひとつずつ違っていて「どれもみんなきれい」です。さまざまな花々に見入っているうちに、高原のこの季節に咲く花々でテーブルアレンジメントをまとめてみようと思い立ちました。

 

 

 

 

 涼しげなガラス器を選んでみました。まわりのフリルが花を支えますので、使い勝手のよい器です。中央に1/3カットのオアシスまたはケンザンを置きます。

 

 皆様もお手持ちの花器を使って工夫してみてください。                                                                           

 

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 世田谷の庭に咲くアジサイを、高原の山荘に持ってきました。

 

 ガラスの花器にざっくり活けこんで、テーブルアレンジメントのスタートです。                                                                                                          

  

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 小淵沢の高原(標高1000メートル)ではまだ固いアジサイの花々。対比のため、世田谷(標高75メートル)から運んできたアジサイを前に置いてみました。

                                                                                                                   

  

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 左右のアジサイを1本ずつ取り除きます。

                                                                                                            

  

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 アジサイのすき間に、高原の初咲きの花々を加えてみましょう。

 

 右側にバラ(アルバ)、左側にノイバラを挿し入れました。                                                                                                            

  

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 左右にニワフジを入れました。

                                                                                                                

  

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 レースフラワー(オルラヤ)を挿し入れ、まとまりと爽やかさを出しました。

 

 さらにトップに西洋マツムシソウを加えて、色の調和をはかり、より爽やかなイメージを演出してみました。                                                                                                            

  

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 もうひとつ、コーナー用のアレンジメントも作ってみました。ブルーの器にこちらもざっくりとまとめてみました。

 

 裏庭に自然のままに群生している優しいピンク色のムシトリナデシコを主役にして、バラを加え、コゴメウツギの枝花と斑入りギボウシをあしらって、窓辺の朝の光に映え、心なごませるアレンジメントに仕上がりました。                                                                                                                                    

  

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盃洗とコンポート

     
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おしゃれなコンポートに、庭の椿とアイビー、アジアンタムをあわせて活けてみました。

    

右: 写真の椿のアレンジメントにつかったコンポート。名古屋で作られたオキュパイド・ジャパンの製品です。

左: 三軒茶屋の古道具店で出合った最初の盃洗

 

 盃洗(はいせん)は、お酒の席で、やり取りする杯を洗いすすぐための器のことです。ひとつの盃(さかずき)やおちょこで酒を酌み交わすことが、日本では昔から、お互いの心を通わせるための流儀だったのでしょう。献杯やお流れ頂戴などの習慣としていまでも残る習慣ですが、そのために生み出されたものが盃洗です。江戸時代後期に始まり、陶磁器や漆器で様々なものが作られてきました。

 

 酒席には全く縁のない私が、盃洗のことを初めて知り、興味を持ったのは、恵泉女学園の園芸科に入学し、フラワーアレンジメントを学びだしてから間もなくの頃です。ご指導いただいた岡見義男先生の花器についての講習の折に、「日本の盃洗がヨーロッパに渡り、コンポートの原型になった」とお聞きしたときのことです。

 

 ヨーロッパのコンポート(compote)は、フランスやイギリスでポピュラーな果物の砂糖煮のことですが、これを盛るための脚付きの器もコンポートと呼ばれ、花器にも応用されています。見比べてみると、なるほど日本の盃洗とそっくりな形をしています。

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   岡見先生の授業のあと、盃洗が家にないかと母に聞いたのですが、ないという返事でした。あったのは、私が生け花に使っていた脚付きのコンポート風の器(左図)がいくつかだけでしたが、それらも盃洗の影響を受けたものかしらと、当時新鮮な気持ちで眺め入ったものです。
                                                                          

 

 盃洗とやっと出合ったのは、それから2年後、中学時代より茶道を教えていただいていた秋山松子先生のお教室にほど近い、世田谷・三軒茶屋の古道具店に立ち寄った折のことでした。本物の盃洗を陳列台の上に見つけた時には、それはそれは嬉しくて、園芸科卒業後に勤め始めたばかりの恵泉園芸センターの初給料から買い求めてしまいました。

 

 これが私と盃洗との最初のめぐり合いでした。その後出合ったものも一緒にご紹介いたしましょう。

 

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伊万里染付の盃洗5点

 

左の5点を上から見ると、美しい図柄がほどこされていることが分かります。

 

 

 

 

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左側は九谷焼、右側は古伊万里赤絵   左の2点を上から見たところです。

お正月飾りの講習会

 

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 2014年12月29日、例年のように、お正月飾りの講習会を行いました。

 

 まず松竹梅の花飾りを制作しました。青竹の筒に松と梅を活け、美しい赤い実の南天と、つややかな緑の葉の椿を挿し、大ぶりのキク3輪とコギクでまとめてみました。

 

 

  

 

 左: 梶本有希子さん制作

 

 次にテーブル花を制作しました。

 

 10㎝以上もあるコケ玉風の丸い器コケマルポット)を平皿に乗せ、まわりに小石を散らしました。冬の季節にオーストラリアから輸入される実のついたユーカリの枝とオレンジ色のバンクシアの花を中心に、黄色のオンシジューム、ガマズミを差し入れ、庭のマンリョウも仲間入りをさせて、お正月らしさを出しました。

 

 

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              コケ玉風の器(コケマルポット)と平皿      参考作品

 

 続いて、苔玉のテーブル花を主役として、お茶のテーブルを参加者の皆様とともにセッティングしました。

 

 松竹梅の花飾りの背面にある藍染めのタペストリーに雰囲気を合わせて、テーブルの中央に藍染めの横長の布を掛けわたし、中央部にお菓子を、両側に苔玉飾りを配しました。今回のお正月のテーブル・セッティングは、オーストラリアの植物を使いながらも、和の雰囲気を醸し出し、「人の和(輪=きずな)」の象徴である“丸”をテーマにしてまとめてみたものです。                                       

 

 

  お菓子は、中央の篭に入った青山・桃林堂のめでたい小鯛焼き、手前の埼玉・川口名物の焼き物(参加者の手土産)、不老長寿の伝説にちなむという金沢の菊花せんべい、吹き寄せなどが並んでいます。

                                                                              

 イギリスのアンティーク家具であるテーブルの美しい木地も目にふれるようにセッティングしたものが、右の写真です。親しい人とのお正月の団欒にどうぞ。         

   

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    花飾りは左:波多野容子さん、右:横山敏江さん制作

 

  今回使いましたオーストラリアの植物―ユーカリとバンクシアについての思い出は、2000年のシドニー・オリンピック直後に、同好の方々とご一緒した西オーストラリアの花の旅です。西オーストラリアが世界中でもまれにみるドライフラワーの宝庫であることを知ったのは50年ほど前のことですが、実際にその地に踏み入ってみてユーカリの美しさや、珍しい花々の多様さ豊富さに感動しました。

 

 右はその折に買い求めたオーストラリアの植物図鑑です。バンクシアだけでも多種多様であることが分かります。本の左上に乗っているのは、いまから16年前にアレンジメントに使ったバンクシアの花が自然乾燥したものです。                                                                      

  

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 講習会のあと、孫の清(6歳)と和(3歳)が遊びに来ました。あり合わせの花材を使って、2人でお正月飾りのアレンジメントに挑戦しました。その折のスナップをご紹介します。

 

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  清制作のお正月飾り

 

     和制作のお正月飾り

 

 日本の幼子たちが、平和な日本でのびやかに育ちますように、美しい自然からの贈り物に感動する心を持ち続けられるように、年頭に当たり切に願います。

 

 昨年は皆様に大変お世話になりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

                                   2015年(平成27年) 元旦  森 由美子

 

 

『日本の布・世界の布』展、9月も下記の日時にご覧いただけます。

小淵沢(山梨県北杜市)の森 由美子花の店『ギャラリー・フラワーカレンダー』にて8月31日まで展示を行いました『日本の布・世界の布』展は、大変多くの方々にご覧いただきました。嬉しいご感想をたくさんいただき、何度も足を運ばれた方々もあり、主宰者として幸せに思っております。

 

藍染め・絞り染め、刺子など、古来から人々に愛されてきた布と布細工の素晴らしさ。布は人間のいとなみに欠かせない日用品ですが、単なる必需品としてだけではなく、少しでもよいもの、美しいものを求めて、長い歴史の中で人々が傾けた熱意と愛情の結晶です。その一端に触れていただきたいと思い、開催した展示会ですが、予期した以上にたくさんの布の愛好家に出合い、楽しい交流もでき、いろいろ教えていただく機会ともなりました。

 

このささやかな展示を通じて、布と布の手仕事に初めて関心を持たれたという方々も少なくありませんでした。大変うれしいことでした。

 

ご好評にお応えして、9月5日(土)、6日(日)、12日(土)、13日(日)、19日(土)、20日(日)の6日間、午前11時から午後5時まで追加展示を行わせていただきます。ぜひこの機会に布と布細工にご興味のある方にご覧いただきたく、お運びをお待ちしております。

 

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日本伝統の藍染め・絞り染め

江戸時代から伝わる技法有松絞り、鳴海型染めなど。

 

青森農家の野良着

冬の厳しい寒さに耐えられるよう、丹念に刺子をほどこした野良着。

 

 

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江戸火消しの装束

強度があり、温度変化と摩擦にも強い藍染め木綿が使われています。

 

      藍染めバッグ

      関 美代子さん制作

 

 

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カンタの壁飾り・掛け布

インド北東部のベンガル地方で作られる刺子です。

 

アフリカの絞り染め・泥染め

インド発祥の藍染め・絞り染めの西の伝ぱ先が西アフリカです。

 

酒袋

お酒を絞るための手織木綿の布。酒袋製のバッグ・壁飾りもご覧ください。

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花嫁の木、マートル(ギンバイカ)

 

我が家のすぐ近くを環七通り(環状7号線)が南北に走っています。かつてこの環七は排気ガス公害がひどく、沿道の植物はガソリンまみれになり息も絶え絶えの悲惨な状況でした。でも、15年ほど前から始まった都のディーゼル車NO作戦のおかげで、ガソリン汚染が激減し、いまでは見違えるように草木がよみがえっています。

 

最寄りの、井の頭線新代田駅へ向かう環七沿いには、スズカケ、サザンカ、ツバキ、ツツジ、ハナズオウ、ムクゲ、キンモクセイ、イボタノキなどの街路樹や遮蔽植栽がよく育っていて、緑や花々の彩りが四季折々に私たちをなごませてくれています。

 

この季節、環七ウォーキングの楽しみといえば、マートルの白い花でしょう。いつも交通量の多い通りですが、歩道のふちに何株ものマートルの木が育っていて、照りつける初夏の日差しの中でかわいい白い5弁の花を咲かせています。マートルは、和名を「ギンバイカ(銀梅花)」という、地中海沿岸原産の常緑の低木です。昔からハーブとして使われ、消毒や鎮静の効用もある植物です。花にも葉にも芳香があるのですが、足早に歩く人々は、ほとんどこの花の美しさにも香りにも気が付かないままに通り過ぎているようです。

 

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環七沿いに咲くマートル    長いおしべが花の可憐さをひきたてています。(撮影 2014.6.17)

 

マートルは、古代ギリシャの時代から愛の女神ビーナスに捧げる神木であり、愛情の象徴とされ、結婚式には欠かせない植物となりました。可憐な白い花とつややかで美しい葉が、花嫁さんのブーケや髪飾りに使われたことから、「祝いの木」という呼び方もできました。この風習はギリシャからドイツに伝わり、さらにイギリスやその他のヨーロッパ諸国へひろがっていったようです。

 

  

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マートルの枝葉で作った花嫁の冠

 

 マートルというと思いだされるのは、20年ほど前、北欧のクリスマスめぐりをした折に訪れたストックホルムの名所、スカンセンでのひとつの出合いです。このスカンセンは、広大な敷地に、スウェーデン全土から移築された古い家屋や農園が点在している野外博物館ですが、クリスマスシーズンでしたので、各地のクリスマ スの行事を再現した飾り付やテーブルセッティングなどが展示されていて、とても興味深く見て回りました。

 

 何やらクリスマスの雰囲気がただよう1軒の民家に入りました。冬の厳しい寒さに耐えるためでしょう、天井が低く窓が小さな、こじんまりとした可愛らしい家でしたが、いくつもの窓辺に緑の葉をしげらせたマートルの植木鉢が置かれていました。民族衣装を着た案内人にお尋ねしたところ、女の子が生まれると マートルを植える習わしがあり、夏場は外に出し、冬は室内に入れて大切に育て上げて、その子が花嫁さんになるときに、育てたマートルの枝葉で髪飾りを作るのですよと教えてくれました。

 

  日本でも昔は、女の子が生まれると桐の苗木を植え、その子が花嫁になるときに、成長した桐の木で箪笥を作って持たせてやるという風習があったものですが、国は異なれど親の思いに共通するものを感じました。

 

ストックホルムの市街に帰り、本屋さんに立ち寄ったときに、スウェーデン伝統の髪飾りの作り方を紹介した本が偶然目にとまり、買い求めました。あの頃、スウェーデンの書籍はたいそう値段が高くて驚いたことも懐かしく思い出されます。

 

日本に戻り、マートルを我が家の庭にも植えてみました。その2代目がいまも元気に育っており、香りのよい花と枝葉をときおりアレンジメントに使って、重宝しております。一昨日アップしました「季節のお花のアレンジメント(第2回)」にも、ちょっぴりですが、我が家のマートルを登場させています。

 

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ストックホルムで求めたウェディングのための髪飾りの本

上に載っているのは、オレンジの花(子孫繁栄のシンボル)の髪飾り[クロスフラワー/制作・横山敏江さん

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花と過ごした50年あまりの歳月、「衣食住に花を活かす」という私のテーマにかかわることごと、世界と日本の行事にちなんだ花飾り、生活を彩るすてきな小物…などなどを、皆様にご紹介させていただきます。皆様からのおたよりもお待ちしております。

 

                       【写真の説明】天候不順の中、小淵沢の庭には、花や野菜や果物が、時を違えず秋色にみのりました。

                              トウモロコシ以外は、我が家の庭に育ったものです。                     

新着情報

季節のお花のアレンジメント

Spring1 topフラワーアレンジメントの基本を学びましょう。

第3回はクレッセント・スタイルです。お手持ちの花を使ってご自分のアレンジメントを制作してみてください。

森 由美子プロフィール

花とともに50年あまり。
森 由美子の歳月。

人との絆

フラワーアレンジメントの手ほどきをしていただいた先生方の思い出。そして、森 由美子にゆかりのある方々をご紹介いたします。

花エッセイ

花エッセイ私の好きな四季の花々について思うこと、思い出すことごとを。

コレクション

コレクション私が興味を持ち、集めてきた品々をご紹介します。

ご挨拶

 以前私のホームページをご覧いただいていた皆様、おひさしぶりです。初めてご覧いただいた皆様、はじめまして。


 かつて数年間開いておりましたホームページを、私の不注意から突然閉じざるを得なくなり、楽しみにご覧いただいた皆様におわびの言葉もないままでおりましたことを、ずっと心残りにしているうちに、7年もの月日がたちました。


 2012年は、私が花の仕事を始めてから50年、2013年は八ヶ岳南麓に開いた高原のお店「ギャラリー・フラワーカレンダー」の25周年…いずれも記念するべき年でした。こうした節目の年を経て、2014年こそ私の再始動の年にいたしたいという願いから、ホームページを再開することにいたしました。


 このささやかなサイトが、皆様との楽しいふれあいの場になることを願っております。どうぞよろしくお願いします。

2014年(平成26年)春

フラワーコーディネーター 森 由美子

山梨県・小淵沢の花の店「ギャラリー・フラワーカレンダー」

山梨県北杜の花の店「ギャラリー・フラワーカレンダー」

山梨県小淵沢にあります森 由美子の花の店「ギャラリー・フラワーカレンダー」をご紹介します。


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シオガマザクラを見てきました! 50年ぶりの再会

かつて実家の庭にあったシオガマザクラの老樹については、花エッセイ「サクラ」でもご紹介しました。

そのシオガマザクラの木が急に枯れてしまってから、早いもので50年の歳月が経ちました。つい先日、我が家のサクラのルーツである、宮城県塩竈市の鹽竈神社への旅がやっと実現しました。(なお、同じ「しおがま」が、市名は「塩竈」、神社名は「鹽竃」、駅名は「塩釜」となぜか3通りに書きわけられています。よそ者には難しい「かまど(竈)」という字ですが、当市では小学生でも書けるそうです。)

塩竃へはいつかぜひ行ってみようと願っていたのですが、数日間の余裕ができたのを幸いと、「そうだ塩竈、行こう!」とばかりに急に思い立ちました。観光物産案内所に電話でお聞きしたところ「満開は、ゴールデンウィーク頃だと思います」というご返事でした。シオガマザクラの見ごろには若干早すぎるかも知れないと不安を抱きながらも、50年ぶりの再会に心急くまま、現地に到着しました。

4月27日、ボラティアガイドの武田喜徳さんと神社の博物館前で落ち合って、参道をたどり楼門へ向かいました。ソメイヨシノはほぼ咲き終わっていましたが、エドヒガンやシダレザクラなどたくさんのサクラが花を咲かせていました。

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ご紋章はシオガマザクラ 最初に出会ったシオガマザクラの若木 まつりの出番を待つ稚児たち

鹽竈神社には、35品種のサクラがあり、国の天然記念物に指定されているシオガマザクラも境内に27本を数えます。参道の途中には白装束の男性や稚児姿の子供たちがたくさんいました。楼門の下の広場には神輿も据えられていました。なんとこの日が鹽竈神社伝統の「花まつり」の当日とのこと、これも嬉しい偶然でした。

土地の方々が「しおがまさま」と親しみを込めて呼ぶこの神社には、実は同じ境内に「鹽竈神社」と「志波彦神社」の二社が並び鎮座しています。その二社に近づくと、ありました、ありました! たくさんのシオガマザクラが、日の光をいっぱいにあびて、やさしいピンクの花房をたわわにつけて我々を迎えてくれました。

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拝殿脇の見事なシオガマザクラ

雌しべが緑色葉化しています。

シオガマザクラの特徴のひとつです。

満開のシオガマザクラ。まさに花盛り

 

この日、雲ひとつない青空のもと、暖かい日差しの中で、緑濃い常緑樹に囲まれた境内に、桜色の花に包まれたシオガマザクラ。まるで絵巻物の中に紛れ込んだようで、その美しさにただただ感動するばかりでした。ガイドの武田さんも、「昨日までつぼみでしたよ。一晩でこれほど変わるとは! こんなに見事に咲いたサクラを見たのは私も初めて」と驚いていました。

私にとっても、今年最高のサクラ体験でした。鹽竈神社の拝殿の脇には、とくべつ大きなシオガマザクラが溢れるばかりに花をつけ枝を広げていました。私の幼児期から社会人になった頃まで、共に過ごした実家の庭のシオガマザクラも、こんな見事な大樹でした。幼い日、妹と花びらを糸でつないで首飾りを作り、母の首にかけたこと、八重の花の中心に緑の葉が出ているのを不思議に思ったこと、庭中が花びらで美しい絨毯になったことなど、胸熱く思い出されました。

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ボランティアガイドの武田さんに

ご案内いただきました。

またの会う日まで、シオガマザクラの

美しさを忘れません。

 元気にそして無事に塩竈まで来られたこと、しおがまさまのお蔭でこんな素晴しい再会ができたことを深く感謝しながら、幸せな気持ちで神社を後にしました。

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表参道(表坂)を降りてくる

御神輿。

大震災時の津波は、この

鳥居を濡らしたそうです。 

 

鹽竈神社の参道下近くに

本年3月、京都の桜守、

佐野藤右衛門さん

植樹された「浪分桜」。

津波の到達地点を後世に

伝えるためのものです。

 

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