「ケルトの国々」で出合った花々 - フラワーコーディネーター森 由美子のホームページ

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「ケルトの国々」で出合った花々。

      

 

 5月下旬から2週間ほど、「ケルトの国々」へ行ってまいりました。

 

 「ケルト」はご存知の方々も多いでしょうが、紀元前に起源するヨーロッパの古い民族です。独特の文化を発展させた民族で、かつてはヨーロッパ全土に広く分布していましたが、他民族に追われて西へ西へと移動し、いまではアイルランドや英国のスコットランド、ウェールズなどにその文化と言語を受け継ぐ人々がわずかに残っています。         

                    

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      まずはケルト聖地であるアイルランドのタラの丘に詣でました。アイルランド人にとって心のよりどころとなっているところです。
     

 今回は、バスツアーに参加して、アイルランド、北アイルランド、スコットランドをめぐってきました。東京からロンドンを経由してダブリンまで飛び、そこからバスでアイルランドの南部と西部を訪ね、英国領の北アイルランドへ向かい、その中心都市ベルファストからフェリーでアイルランド海峡を渡って、スコットランドへ。さらにローモンド湖やネス湖を経て、スコットランドの歴史都市エジンバラに至るバスの旅でした。ダブリン~エジンバラ間の走行距離はおよそ2700キロでした。

 

 アイルランドは、日本より涼しい国だけに、いまが新緑の時期で、野山に緑したたる美しい季節でした。いたるところに緑の牧草地が広がり、放牧されたヒツジやウシやウマがのどかに草をはんでいました。

                   

CelticRoute2 mバスの中からの撮影ですので、前景はどうしても流れてしまいます。こんな平和な風景が続きます。 

 

  バスの車窓からの景色は、全行程にわたって「緑」「白」「ピンク」「黄色」の4色が基調でした。「緑」はもちろん草木の緑。アイルランドも、スコットランドも、晴れのち雨のち晴れのち曇り、というように変わりやすい天候です。適度のおしめりがあるためでしょう、草木はみずみずしい若葉色でした。

 

 「白」はサンザシの花です。バラ科の落葉低木であり、もともとは中国原産のようですが、いまではヨーロッパ、アジア、北アメリカなどの北半球の温帯にひろく分布しています。アイルランドでも、野山、牧草地、畑のあぜ、道路の端などを白く彩っていました。

     
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バスの最前列から撮りました。サンザシがあふれるばかりに

白い花をつけていました。

 

バレンの「巨人のテーブル」で出合ったサンザシの大木。

 

   

 右上の満開のサンザシの木に近づいてみると、一輪一輪が、とても可憐で美しいことが分かります。

 

 アイルランドはよく「妖精の国」と呼ばれます。妖精を信じるお国柄といってもよいでしょう。15年ほど前に初めてこの国でドライブをした折に、「妖精横断中」(Fairy Crossing)という道路標識を見たことがあります。

 

 妖精の好きな花は、白い花といい匂いの花だそうです。サンザシはまさに妖精好みの木で、サンザシの下で踊っている妖精がよく見られる(!?)と言われています。

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    サンザシの花をクローズアップしてみました。

 

 

   

 「ピンク」はシャクナゲです。アイルランドの森や野山に、無数のシャクナゲが薄紅色の花を咲かせていました。むかし英国人が移植した数株が、みるみるうちに全土に殖えひろがったのだという話を聞きました。

 

 アイルランドのシャクナゲは、どこに行っても同じ薄紅色の花ばかりで、他の色のシャクナゲは全く見ることができませんでした。前述のサンザシの場合は、白い花が大部分ですが、ときどきやさしいピンク色の花をつけているものも見かけました。

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    アイルランドの西岸を縦断する景勝道路「アトランティックウェイ」で見たシャクナゲの群生。

 

 

   

 アイルランド島からスコットランドへ渡ると、沿道でひときわ目立つのがハリエニシダの「黄色」でした。乾燥した砂地や荒れ地によく生えるという南西ヨーロッパ原産のマメ科の常緑低木です。目に鮮やかな黄色い花とトゲをまとったハリエニシダの群生が、沿道の左右に延々と続いていました。

     
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ネス湖の湖畔にあるアーカート城の傾斜地にも、黄色い

ハリエニシダが群生していました。

 
   
   

花の形は近縁のエニシダに似ていますが、針の

ような鋭いトゲで武装しています。

     

 アイルランドからスコットランドにかけて、もうひとつの白い花をたくさん見かけました。日本ではニワトコと呼ばれる落葉低木ですが、英語ではエルダーフラワーと呼ばれています。初夏に小さな白い花を無数に咲かせます。

 

 アイルランドでは、サンザシとともに妖精の好きな白い花の木のひとつに数えられていて、この花の下で待っていると、きっと妖精に会えるという言い伝えがあるそうです。

 

 今回の旅では、この花の清涼飲料水があることを知りました。立ち寄ったカフェで初めて飲んだエルダーフラワーのトニックが、ほんのり甘く爽やかな味わいでしたので、すっかり好きになりました。ヨーロッパでは、風邪の引きはじめによく効き、リラックス効果もあると言われていて、むかしから人気のある夏の飲料であるということです。

 

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ケルトの国々の道端で、よく見かけるのがこのエルダーフラワーです。  

エルダーフラワーから作られた炭酸飲料は、スーパーでも手軽に買えます。中央の3本がそうです。

     
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野原でつんだ小花を、ペットボトルの上部をカットして作った容器に入れて持ち運ぶのが私の旅のならわしです。今回も旅の半ばから1週間ほど花がもち、ホテルの部屋のうるおいになりました。

手前はベルフラワー、後方はワスレナグサですが、中央部のピンクの花の名前は分かりません。

右のリンゴは同行の方からいただいたもの。値札には"Flat Apple"と書いてあったそうです。

【追記】その後調べましたところ、中央部の薄いピンクの花はアブラナ科のカッコーフラワーだということが分かりました。英国やアイルランドではよく見られる野の花だそうです。カッコーがやってくる4月の初めに花が咲きだすことからその名があるということです。