6月 小淵沢の庭 - フラワーコーディネーター森 由美子のホームページ

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6月 小淵沢の庭

 

昨年末に発行しました『フラワーカレンダー~季節の花飾り』の26ページに、「やさしいお母さんへ」と題したアレンジメントを載せていますが、それにちなんだ花の思い出話をさせていただきます。

 

 小淵沢の山荘のベランダでは、ニュードーンという優しいピンク色のつる性のバラが、いまを盛りと咲いています。50年以上昔の話になりますが、園芸を学んだ学生時代に、学園のバラ園に咲いていた私のお気に入りのバラでした。先生にお願いしてひと枝分けていただき、東京・世田谷の実家の庭に挿し木をして育てました。

 

 みるみるうちに大きく健やかに育ち、客間から眺められる場所に美しく見事な花を咲かせました。お客様にいつも「美しいバラですね」とお褒めのことばをいただいておりましたが、私が結婚のため実家を出てから数年もたたないうちに、悲しいことに枯れてしまいました。

 

 それから長い年月が流れ、10年ほど前、小淵沢の店「フラワーカレンダー」のすぐ近くに山荘を買い求めた折に、思い出のニュードーンを植えました。すくすくと育ち、今年も優しいピンクの大きな花を咲かせてくれました。このバラが花開くたびに、「バラが咲いたわよ、見にいらして」と友人たちに声がけをする私です。

         
            

GardenJuly2018 1 m

  GardenJune2018 2 m
     6月に入り、ベランダのフェンスに咲いたニュードーン   優しいピンクの色合いがなんとも素敵です
         

標高1000mの小淵沢の庭では、東京よりおよそ1ヵ月遅く咲くニュードーン。園芸科卒業以来、半世紀もの間、会う機会のなかった同期の友人がまもなく小淵沢に来てくれます!  かつて学生時代に、学園でともに見たニュードーンの花に、果たして気がついてくれるかしらと、わくわくしながら待っているところです。

     

 上記の26ページのアレンジメントにも加わっている、もう一つの我が家の6月の花は、ツツジ科のカルミア・ラティフォリアです。山荘の庭の一隅に、そのピンクの花が満開になっています。

 

 私の小学校時代、春ともなると、京王線新宿駅の改札のすぐ外に、木や草花を売る露店が並び、母と私はいつも楽しみに立ち寄っていました。

 

 そこで初めて見たのが、コンペイトウを無数につけたような不思議なつぼみを持つ、カルミア・ラティフォリアでした。不思議なひびきの名前もその時に初めて知りました。

    

GardenJune2018 3 m

     可愛いピンクの花が、6月の庭を明るくしています

 

 母に「これとってもきれい、欲しいわ」と言いましたところ、「いつかお庭にね」という返事。小さな約束ごとができました。

 

 それから間もなく母が急逝し、果たされなかった約束になりましたが、この花を見るたびに、母の優しい声を思い出してしまいます。いま我が家のカルミア・ラティフォリアは、私よりずっと背が高く、身体いっぱいに美しい花々を咲かせています。

 

私の庭に咲く花々のひとつひとつに、思い出がつまっています。折々に、花にまつわる思い出ばなしをさせていただきたいな、と思っています。お付き合いいただけたら嬉しいです。